南蛮時計の音を聴く会

2007年6月10日(日)、時計の日を記念して静岡市の久能山東照宮で徳川家康公愛用の南蛮時計の音を聴く会が、駿府静岡歴史楽会の主催で開かれた。

駿府静岡歴史楽会・西谷祐一氏 久能山東照宮・落合偉州宮司


この時計は、慶長16年(1611)の大航海時代に、スペインの国王使節セバスチャン・ビスカイノが駿府城の徳川家康公に献上した贈物の一つである。家康公は、この南蛮時計を大事にし自分の持ち物で最も大切な品物の一つとされていた。


この日は、まず、久能山東照宮の落合偉洲宮司が、時計のたどってきた数奇な運命を紹介した。

時計は時計師ハンス・デ・エバロが1581年スペインのマドリッドで制作しもので、同じようなエバロの時計がスペインのエル・エスコリアル宮殿に現存しているという。

家康公に愛用された時計は、二代将軍秀忠の命で父の霊がやすまる久能山東照宮に奉納された。

その後時計は明治の頃、再び世に出て博覧会などに出品された。

やがて、時計は国立科学博物館の朝比奈貞一博士の手で修理され、再び目ざまし時計の音色が戻った。

そして、昭和30年6月10日の「時の記念日」に、南蛮時計の音が日本とスペインのラジオ放送で放送され大きな話題をあつめたという。


時計は更に数奇な運命をたどる。

昭和30年11月19日、博物館から時計他宝物9点が盗まれたのである。


当時このニュースは新聞で大きく報道され、静大付属小学校二年森舜比古君は「こわしたり、すてたりしないでそっと返してください。返す時、もしおまわりさんに見つかったら、ぼくがあやまります。」と訴えた。
この記事を読んだ犯人は、時計を返し、無事久能山東照宮に戻ったのである。

家康公愛用の南蛮時計は、故郷スペインをを離れ、今も、久能山東照宮博物館で四百有余年の時を過ごしている。